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ふるさと佐久


by newport8865
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改めて「さく」という言葉

「さく」という言葉。やまと言葉だと思われるものを集めてみた。
 なお、漢語では、「作」を初めとして沢山あるが、佐久の地名とは関係が薄いのではないかと思われる。

さく【幸く】
〔副〕「さきく(幸)」の上代東国方言。*万葉‐四三四六「父母が頭かき撫で佐久(サク)あれていひし言葉(けとば)ぜ忘れかねつる」
 (筆者注:これまでこの「さく」に気が付かなかった。万葉集にこのような歌があったとは!)

さく
鍬(くわ)で田畑を打ち返すこと。また、その打ち返したところ。田畑の溝(みぞ)や畝(うね)。さくり(決)。
さくを切(き)る 鍬で、畑に溝をつくったり、畝間の土を農作物の根元に寄せかけたりする。
 (筆者注:これは、父が佐久の語源候補として挙げているのを聞いた記憶がある。)

さく
植物「みくり(実栗)」「はますげ(浜菅)」「しおくぐ」などの異名。

さく
魚を大きくおろした身。「まぐろ(かつお)をさくにおろす」

さく【裂く・割く】
Ⅰ 〔他カ五(四)〕
1 一つにまとまったものを、手などで二つに離す。ひきやぶる。やぶく。割る。「布(闇・空気)を裂く」*塗籠本伊勢‐三八「うへのきぬの肩を張りさきてけり」
2 刃物などで切りひらく。切り割る。切り裂く。「鳥を割く」*私聚百因縁集‐六・五「此れは太子の為母后の胸を却(サク)」
3 目尻などを裂いて入墨をする。*古事記‐中・歌謡「胡恟子(あめ)鶺鴒(つつ)千鳥ま鵐(しとと)何ど佐祁(サケ)る利目(とめ)」
4 人と人との仲を隔てる。「夫婦の間を裂く」*頼政集‐下「夢にも中をさくと思はん」
5 一部を分けて他にあてる。「時間を割く」*書紀‐継体六年一二月(前田本訓)「抑由有り。縦(も)し削(サイ)て他に賜はば、本の区域に違ひなむ」
Ⅱ 〔自カ下二〕⇒さける(裂)


さく【佐久】
長野県東部の地名。佐久盆地の中央部にある。江戸時代に内藤氏一万五千石の城下町、中山道の宿場町として発達した岩村田が中心。鯉の養殖がさかん。昭和三六年市制。

さく【咲く】
〔自カ五(四)〕(「さかえる(栄)」「さかる(盛)」と同源で、勢いが盛んになるのをいうか)花のつぼみがひらく。*書紀‐大化五年三月・歌謡「もとごとに花は左該(サケ)ども」

さく【秀く】
〔自カ四〕(「さく(咲)」からの派生)波などが高く立つ。波頭が白く砕け散る。→さきたつ(秀起)。*万葉‐四三三五「今替る新防人が船出する海原の上に波な佐伎(サキ)そね」

さく【離く・放く】
(「さかる(離)」に対する他動詞)
Ⅰ 〔他カ下二〕
1 間を離す。ひきはなす。*書紀‐允恭八年二月・歌謡「細絞形(ささらがた)錦の紐を解き舎気(サケ)て」
2 二人の仲を隔てる。ひきさく。*万葉‐三四二〇「上毛野佐野の舟橋取り放し親は佐久礼(サクレ)ど吾は離るがへ」
3 (他の動詞の連用形に付いて、その動作をすることによって)思いをはらす。気を紛らす。*続日本紀‐宝亀二年二月二二日・宣命「誰にかも我が語らひ佐気(サケ)む、孰にかも我が問ひ佐気(サケ)むと」
4 遠方に目を放つ。遠くを見やる。*古今‐四〇六「あまの原ふりさけみればかすがなるみかさの山にいでし月かも」
Ⅱ 〔他カ四〕Ⅰに同じ。*万葉‐四五〇「行くさには二人わが見しこの崎を独り過ぐれば情(こころ)悲しも一云見も在可(サカ)ず来ぬ」

さくい(‥ゐ)【栄井】
(「さく」は永遠に栄えるの意)良質の井戸をたたえていう語。また、井の神の名。*延喜式・祝詞‐祈年祭(九条家本訓)「生井・栄井(サクヰ)・津長井・阿須波・婆比支と、御名者白て」
 (筆者注:栄だけでは、「さか、さかえ、はえ、はやし」と読む。)

さくいし【佐久石】
長野県佐久市大沢から切り出す淡灰緑色の安山岩。

さくさく
〔副〕
1 水などが滞りなく軽快に流れるさまを表す。さらさら。*宇治拾遺‐一・一八「白く新らしき桶に水を入れて、此の釜どもにさくさくと入る」
2 歯で物をかむ音、野菜などを刻む音、雪や砂などを踏んで歩く音、鍬(くわ)、鋤(すき)などで耕す音など、連続する軽快でさわやかな感じのする音を表す語。「さくさくと林檎をかじる」
3 ものごとをきっぱりと言うさま。*日葡辞書「Sacusacuto(サクサクト) モノヲ ユウ ヒトヂャ」

さぐじ【三狐神】
(「みけつかみ(御食神)」の当て字である「三狐神」を音読した「さんこしん」の変化)農家でまつる田の神。

みけつ【御食つ】
〔連語〕(「つ」は「の」の意の格助詞)天皇の食料の。御飲食物の。
御食つ神(かみ) 
1 食物をつかさどる神。大宜都比売神(おおげつひめのかみ)・保食神(うけもちのかみ)・倉稲魂神(うけのみたまのかみ)・豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)・若宇迦乃売命(わかうかのめのみこと)など。
2 宇賀御魂神(うかのみたまのかみ)、すなわち稲荷の神の異称。俗に「三狐神」と当て字されたので、狐にこじつけられる。
御食つ国(くに) 天皇の食料を献上する国。*万葉‐九三四「朝凪に楫の音聞こゆ三食津国(みけつくに)野島の海人の船にしあるらし」
御食つ物(もの) 神への供え物。天皇の食膳に奉る食物。*書紀‐雄略一二年一〇月(前田本訓)「饌(ミケツモノ別訓おほもの)を覆(こほ)しつ」 (筆者注: この下の、石神のミシャグジのほか、御三狐神で、ミサグジの可能性は?)


さぐじ【石神】
「しゃくじん(石神)」の変化した語。

しゃくじん【石神】
奇石、石棒、石剣などを神体としてまつった神。安産、良縁、治療、子育てなどの霊験があるという。いしがみ。 (筆者注:改めて ミシャグジ とは 御石神のことだろうか?)

いしがみ【石神】
Ⅰ 神霊が石にこもり、また、石に寄りついて顕現するという信仰に基づき、その依代(よりしろ)をまつった神。しゃくじん。
Ⅱ 狂言。各流。妻に離縁話を持ち出された夫が、妻の祈誓する石神になりすまして自分に都合のよい託宣を下す。



さくぼんち【佐久盆地】
長野県東部、浅間山の南側に広がる高原性の盆地。古くからの馬の放牧地で、高原野菜の産地。佐久平。

さくむ
〔他マ四〕岩や木の間を押し開き、踏み分ける。踏み分けていく。*万葉‐二一〇「石根左久見(サクみ)て」

さくやま【佐久山】
栃木県大田原市の地名。江戸時代は奥州街道の喜連川と大田原の間にあった宿駅。

さくゆり【佐久百合】
ユリ科の多年草。伊豆諸島に生え、観賞用に各地で栽培される。茎は直立して太く、高さ一・五~二メートルになる。葉は長楕円形で多数互生し長さ一五~二〇センチメートルで短柄がある。七月、茎の先に径約三〇センチメートル、長さ一五~一八センチメートルの純白色に黄色の斑点のある広鐘花を数輪から一二、三輪つける。球根は扁球形で径約一〇センチメートルになり苦味がなく食用となる。ためともゆり。においゆり。はちじょうゆり。さっくいねら。

(筆者注: 園芸では、作百合の表記が多い。)


以上、Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988からの引用
by newport8865 | 2015-10-01 20:00 | 地名 人名